New Chitose Airport International Animation Festival
ARCHIVES 2014-2025

大沢 真梨
OSAWA Mari

日本 (Japan)

愛知県豊橋市生まれ。経営学部を卒業後、人事コンサルティング会社へ入社。2018年に独立し、主に新卒採用関係のクリエイティブ案件を請け負う。2025年より名古屋造形大学大学院先端表現研究科へ在学中。オイルパステル等を使用したドローイングアニメーションの制作・研究を行っている。

OSAWA Mari

PARTICIPANT REFLECTION

映画祭体験型育成支援プログラム NEW CHITOSE AIRPORT テイクオフ・アニメーション・セミナー(通称:NEW CHITOSE TAS)

体験型育成支援プログラム「NEW CHITOSE AIRPORT テイクオフ・アニメーション・セミナー(通称:NEW CHITOSE TAS)」に参加したメンバーによるレポートを公開します。

昨年は一般鑑賞者として参加した新千歳空港国際アニメーション映画祭に、今年はアニメーション作家の卵として参加した。体験型育成支援プログラム(通称: NEW CHITOSE TAS)では、入選作品の鑑賞、交流会への参加、プログラムメンバーと のディスカッション、そして自身の新作アニメーション作品についてのプレゼンテーショ ンを行った。世界中から集まった作品を鑑賞するだけでなく、その作品を生み出した作家の方々との交流や、仲間とディスカッションしていくことで、映画祭の裏に広がるアニメーションの世界を垣間見ることができた。このレポートをどのようにまとめるか悩んだが、自分自身がTASを通じて得られた気づきや学びの整理も兼ねて、5つの項目で振り返っていきたい。

1. 作品の言語化

5日間のプログラムの中で一番感じたのは、言語化の重要性である。プレゼンテーションでも、ディスカッションでも、作家の方々との交流でも、言葉で伝えることが前提にある。当たり前のように思えるが、鑑賞者として参加していた時は、作品について知る機会といえばパンフレットに書かれたあらすじや鑑賞後のトークが主だった。伝えるべきことは全て作品に詰め込み、言葉は補足として添えるだけ。そういうものだと思っていた。しかし、受け手としてではなく作り手として映画祭に参加すると、自分の言葉で自身の作品について語る機会や、他の作品についても言語化して議論や交流をする機会が多い。そして、言葉で伝えるためには、そのための知識が必要になる。大学院の研究でも日々痛感する部分ではあるが、5日間の中で、よりその必要性と重要性を身をもって体感した。

2. 作品と作家の繋がり

作家の方々と交流できるというのも、TASの大きな魅力である。正直、最初はワクワクよりも不安の方が大きく、すでに圧倒的な作品や様々な実績を持つ方々に話しかけてもいいのだろうかと尻込みをしていた。しかし、TASの名札を首にかけていると、それをきっかけにすることができる。若干コンサル時代の営業を思い出しつつ、図々しくも憧れの作家の方々にお話を伺うことができた。
物腰の柔らかさが作品の優しい空気感に表れていたり、逆に作品のコミカルさやファンタジーさと作家ご本人とのギャップに驚いたりと、作家と作品との関係性を垣間見られるのはとても新鮮だった。また、なぜ今の表現に至ったのか、そもそもなぜアニメーションを始めたのかというお話も興味深かった。最初からアニメーションをやりたいと思っていたというよりは、ご自身の制作や研究の過程で辿り着いたり、お話を伺えた範囲ではあるが、ほとんどの方が独学で、アニメーター出身の方が少ないというのも発見である。自分自身が数年前までアートの世界とは一切縁がなくビジネスの世界に生きていたため、どこか作家を遠い存在に感じたり引け目を感じていたが、今活躍している作家の方々の多くがアニメーションとは違う世界からスタートしている。ロールモデルとして勇気をもらえると同時に、言い訳はできないと身の引き締まる思いである。本当はお話を伺った作家お一人ずつのインタビュー記事としてまとめたいところだが、レポートの分量に収まらないのと、自分の理解が違っている可能性もあるため、ざっくりとしたまとめに留めておく。

3. 作品とコミュニケーション

TASの仲間や作家の方々と交流を深めていく中で、作品は自分自身の考えや想いを語る言語になることを実感した。まだ10秒程度の未完成な状態ではあるが、現在取り組んでいる作品を見せることで、数多にあるアニメーションの制作手法や表現内容の中で、自分自身がどのような立ち位置にいるのかを伝えることができる。そして「こんな作品を作っています」と自己紹介代わりにお見せすると、なぜその画面比率なのか? 1レイヤーで作っているのか?など質問をいただける。そこでパッと答えられるものもあれば、ちゃんと考えていなかったなと気付かされるところもあり、自分自身の作品理解を深めるきっかけにもなった。また、TASのプレゼンテーションでは作品の進捗と同時に音に悩んでいるという課題も伝えたところ、サウンドデザイナーの方に後で声をかけていただいた。後日打ち合わせを行い、来春の完成に向けて協力してもらえることとなった。未完成の状態でも、発信することの重要性を身をもって知ることができた。

4. 作品の評価

TASには自分を含めて6名のメンバーが参加した。映画祭3日目と4日目は様々なバックボーンを持つ仲間とのディスカッションの時間だった。映画祭の選考委員の模擬体験のように、TASとしてプログラムを組むならどの作品を選出するのかを議論する。自分の好みだけではなく、制作手法や表現の多様性、上映時間、全体としてのまとまりなどあらゆる視点から自分たちで答えを導き出さなければならない。ほぼ満場一致で決まるものもあれば、意見が分かれるもの、また最初と最後で結果がひっくり返るシーンもあり、アツい時間となった。 ここで経験したように、単純に作品のクオリティが高いから通る、低いから通らない、ということではなく、他の作品との兼ね合いや映画祭としての方向性も加味して選考が行われる。だからこそ、1つの映画祭で通らなかったといって気を落とさずに、どんどん挑戦していってほしい。ディスカッション後、ファシリテーションをしてくださった選考委員の田中さん(注1)からのメッセージが心に響いた。

注1:本映画祭プログラムアドバイザーの田中大裕

5. 作品をつくるということ

ディスカッションで経験したように、評価は時と場合、人によっても大きく異なるため正解や不正解のない世界である。だからこそ正しさを求めすぎず、意見や見解の違いを恐れずに、自分を信じて作り切るという姿勢も重要だと感じた。自分を信じるためには、軸が必要になる。大きな時間とエネルギーをかけて数々の作品を作り上げてきた作家の方々には、それぞれ大事にしているもの、目指したい表現などが明確に見えていたように思う。そしてそれは一朝一夕で得られるものではなく、今まで試行錯誤を繰り返し、考え抜いてきた中で培われてきたものだと思う。その見出し方は人によって異なり、作家になるまでの道筋も10人いれば10通りの道がある。自分自身も、これから作品づくりと言語化、そしてそれを可能にするための知識を身につけながら、アニメーション作家としての軸を見つけていきたい。
最後に、貴重な機会を作ってくださった映画祭選考委員の皆様やTASの仲間たち、交流してくださった方々には感謝の気持ちでいっぱいだ。次はアニメーション作家として映画祭へ訪れることができるように、5日間で得られた学びと出会いを大切にしながら作品制作と向き合っていきたい。

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